空白の時間

21/31
前へ
/31ページ
次へ
「でも、もったいないです。私、ネット検索ぐらいであまり大したことしないんですけど……」 遠慮しつつ、実は欲しくてたまらない。 高機能パソコンが欲しいのではなく、彼が使っていたものを貰えるなんて、そっちの方が魅力的だった。 「ネットも格段に動作が早いはずだよ。どんなものを見るの?ドラマとか、動画?」 「あ……えーと、料理のレシピとか、あと誰かの猫日記とか……」 「はは、猫ね」 改めて口にすると本当に大したものを見ていないなと恥ずかしくなって最後はモゴモゴとフェードアウトすると、彼は笑いながらパソコンを立ち上げた。 「席次表もこっちで作ったら?無線LANで僕のプリンタの設定済みだからすぐに印字できるし、タッチパネル対応だから使いやすいよ」 「わぁ、本当だ。すごーい……」 今時は当たり前の操作性でも、私の古いポンコツとは大違いなので彼の肩越しに覗き込んで感嘆していると、彼の肩がくすくすと揺れた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2901人が本棚に入れています
本棚に追加