空白の時間

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微笑を浮かべたまま、彼の下書きを手に取った。 上座にはやはり西野専務がいた。 覚悟していたから当然のことと受け止めて、他のテーブルに目を走らせる。 あれ……? 何度見ても、どのテーブルにも“桐谷寧史”の名前がない。 寧史は黒木と同じ二課だ。 肩書きや所属部課も明記するので、だいたいの構成は分かるのだけど、同じ二課からの出席者はかなりいる。 なのに、なぜだろう……? キッチンの様子を窺うと、まだ作業の音が聞こえていて、すぐに戻ってくる気配はない。 急いで招待状の束を繰ってみたけれど、やはり寧史のものはなかった。
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