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それでもしばらく席次表の文字入力を続けた後、洗濯機が終了を知らせたのを理由に、私は作業を中断して洗面所に逃げた。
なめらかにキーを打つ彼のしなやかな指や真剣な横顔を見つめていると、胸が高鳴れば高鳴るほど、黒木に愛されていた彼女が羨ましくて、苦しくて耐えられなかったから。
華やかな彼女。
何もかも持っている彼女。
鏡を見ながら、劣等感と戦う。
私も彼に愛されたくて仕方がなかった。
「……やめやめ!」
せっかく久しぶりに彼と一緒にいられるのに。
自分を叱りつけながら勢いよく洗濯機を開ける。
彼の洗濯物を干す作業は私にはいい気分転換になったようで、ひとつ干すごとにいちいち照れている間に、気分はかなりすっきりしていた。
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