お隣さんは○○○。

育（いく)

親が離婚した。
母さんと兄貴が出ていった。
俺は学生だから経済的に余裕があるオヤジと家に残された。
色々と事情があるらしいが、
親って勝手だ。

苗字は婿であったオヤジが変わった。
俺は母さんに親権があるらしく、そのまま母さんと兄貴と同じ苗字だ。
それが条件で母さんは家から出て行った。
母さんより、好きな女を作ったオヤジが出て行くのが普通なのに、
オヤジより母さんの方が早くオヤジと離婚したかったらしい。
母さんは離婚するために40過ぎてから頑張っていた。
就職することが一番難しかったらしい。
仕事が決まってからも大変そうで、人の何倍も働いて、それでも不景気でかサービス残業ばかりで収入には繋がらず、たまに弱音を吐いていた。

ずっとこんなに辛いなら長生きしたくないな
と

俺から見たら不器用で欲がなくてバカな母親だった。

俺はあんな親みたいな大人にはなりたくないといつも思う。

母さんと兄貴のアパートの隣にそびえ立つ高級マンションに俺の彼女が住んでいる。

彼女の母親も出て行ったらしい。
父親は優しいが大人しく何でも母親の言う通りで、つまらない人だから母親は愛想をつかしたんだと彼女は言っていた。

父親は母親の不満に何も気付いていないらしい。母親に新恋人がいることにも気付いてないからイライラすると言う。

彼女の母親は要領が良さそうだ。