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目を覚ますと、素っ気ない真っ白な天井が目に映った。
窓から差し込んだ柔らかい陽ざしが目に入ると、零次は眩しそうに目を細める。
ふと腕時計に目を向けると、土曜の8時を指していた。
「……もう朝か」
少し軽くなった体を起こすと、頭を軽く振って瞼をこする。
とその時、視界に入った携帯に新着が入っているのに気付いた。
「……誰からだ?」
零次は不思議に思いながらも、棚に置かれた携帯を開いた。
『新着メール1件』
「選択」を選ぶと、そこには「愛梨です」のタイトルで始まる、短い文章があった。
「ナハト君から連絡先を聞きました。
もし時間があれば、明日この場所で待ってます。
○○公園 ××駅近く 愛梨より」
メールを読み終えた零次は、間を置くことなく返信の文を打った。
「分かった、すぐ行く」
続きをつなげるか迷ったものの、結局そこまでにとどめて送信することにした。
「……ナハトのやつ、何教えてんだ勝手に」
顔を思い浮かべると、茶化されているようで急に笑いがこみあげてきた。
閉じていたカーテンを開けると、夜が明けた明るい朝の空は、どこか頼もしく見えるような気がした。
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