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翌日。
教えられた公園に足を延ばすと、遠くで天野が手を振っていた。その横ではナハトがすまし顔でちょこんと座っている。
「あ、こっちこっち!」
「早いな」
駆け寄った零次に向かって、「さすがに早すぎたかなって思った」と照れながら天野が返した。
「一時間も前から待つだなんて、よっぽと気にしているんですな、このこの」
ナハトが茶化すように天野を突っつくと、「もう、やめてよ」と笑いながら足を避けた。
「えっと……どうしよっか? まだ何するか決めてなかったんだけど……」
「好きなところに行けばいいんじゃないか? その方が楽しめていいだろうし」
「うーん……じゃあ、二人でこの公園を歩こっか?」
「そうするか」
ぎこちなく腕を絡めた天野を見て、零次はそっと自分のほうへと寄せた。
「僕もついていきますニャー!」
「ハイハイ。……これからもよろしくね、ナハト君」
「勿論ですニャ」
振り返ると、ナハトが満面の笑顔で二人を見つめ返していた。
「それじゃ、行こっか」
「おう」
二人と一匹の姿が、眩しく輝く太陽の下でゆっくりと歩みだした。
――このひとときが、ずーっと続いたらいいな。
天野は小さく微笑みながら、零次の肩に顔を傾けたのだった。
Fine.
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
あなたにもいつか、かけがえのないひとときが訪れることを心から祈っています。 作者より。
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