第1章

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「けれど、時間がたつと少しずつわたしの手から零れていってしまい、気が付いたら、手の中にあったものは空っぽになっていました」 ウサギの手からは雫がポタポタと零れていました。 つい先程まであった水は、いつの間にかウサギの手から殆ど無くなっていました。 「何度も、何度も、すくいました。けれど、何度やっても手から零れてしまうのです。ずっと、もっていることが出来ないのだと分かりました。分かってしまって、悲しくなりました。それで涙が出てしまったのです」 そう話し終わると、ウサギはまた泣き出しました。
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