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「そうではありません。……貴方は何処から来たのですか?」
何が違うのかサッパリだ。
「東京よ。ここは何処?」
未来からとは言えないしね。
「とうきょう? ですか。ここは京ですよ」
「は? 私は場所を聞いてるわけであって、今日が今日なのは知ってるわよ」
ここは今日なんて文脈も変だし、この人馬鹿じゃないの? 東京も分かってないのか首を傾げてるし。
「斎藤さん、この方どうしましょう」
沖田総司はもう1人の男に話しかけた。
「奉行所に突き出すか、屯所に連れて行くかだな」
斎藤という人の声は落ち着いた感じだけど、私には何をいってるのかサッパリ。
ぶぎょうしょとかとんしょとか、何処なのよ!
それでも、このまま野宿するよりはマシなはず。
「でも奉行所には、何て言うんですか? この人、珍妙な格好をしてるだけですよ」
「罪状は……」
「ちょっ! 待って、待ってよ! 罪状って私が罪人ってこと!?」
さっき行ってた場所って警察とか交番みたいな所なの? いくら雨風を避けられるからって、そんな所は嫌だ!
「ならば、本当の事を申すのだ。貴殿は何者だ」
暗闇のはずなのに斎藤という人の目がギロリと鋭くなってる感じがした。
嘘吐いたら……。
想像しただけで身が竦む。
「せ、説明するわよ! といっても、あなたたちに解るように説明出来るかと言われたら無理だけど!」
そう前置きしてから伝えた。
「多分だけど、多分ね。今から100年とか150年とか……、もしかしたらもっとかもだけど、それぐらい先の時代から来たのよ!」
沖田総司の名前で幕末だってことは分かったけど、それがどれぐらい前なのかは知らない。
平成と昭和しか……。それほど歴史には興味なかった。だって大事なのは未来で、過去は過去しかないんだから、そんな事に脳を使いたくない。
「貴方……、気狂いですか?」
やっぱり、そう思うよね。私だって21世紀にいて“22世紀からタイムスリップしてきた”なんて言われたら、病院行けって思う。
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