第1章

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冬だ。いまは2月の初め。 私はこの時期が一番苦手だ。でも、一番好きだな、と思うときもある。 冷たい空気の中、街灯のない暗い道を歩くと、どうしても思い出に浸ってしまう。数年前を思い出して、自分の殻に閉じこもってしまうんだ。 そんな、狭い世界にいる自分がとても嫌い。 でも、殻に閉じこもってしまえば、他の何にも煩わされない。あの時の思い出を、思い出にしたくない。ずっと、いつまででも昨日のことのように思える。 あのときの、馬鹿なくらい素直でまっすぐな自分は、わりと好き。 じゃあ、いまの自分は? どうなんだろう。
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