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お鈴の亭主の平次と酒を呑み喧嘩したまでは覚えておりました。
平次がお鈴に手を出す度に夜な夜なお鈴の声が聞こえ煩くて、独り身の喜三郎にはたまらなくそれを喜三郎は呑んだ勢いで平次に訴えたのです。
けれども平次はお前も誰か囲えと言い出し、もてない男の僻みだとも言われ笑われてしまいました。
反論しても同じこと。怒った喜三郎は店を出て溜まったものを吐き出そうと女を探しました。
――女を探して俺はどうした?
そう喜三郎が思った途端、雨の音が長屋に響き渡りました。
しばらく雨の音を聞いてから喜三郎ははっとして両目を開けました。
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