知らない隣人

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 怯える娘の顔に喜三郎は今までにない喜びを覚えました。  ――このまま逃がすなんて勿体ない。もっともっとこの娘を――  喜三郎はこの奇妙な着物を着た娘を自分の元に置こうと思いました。けれども余りにも奇妙な娘と一緒に住む訳にもまいりません。  そこで少し前に長屋に空きがあったと思い出し、そこならば他の長屋の連中に気付かれることもなく思う存分楽しめる……と思い付いたのでした。  ――すっかり忘れちまった。  喜三郎は自分の家と同じ造りの九尺二間の奥へ足を踏み入れました。  以前見た春画と同じように天井から紐で縛り楽しんでいたというのに……。
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