二、部活紹介二日目

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サッカー部部長。 小麦色の肌に、痛んで茶色くなった髪。 屈託なく笑うイケメン。 この人もキャラが濃いなあと思いつつも、利香は大事なことを言っておかなけらばならない。美術部の皆を喜ばせる前に。 「私、部活立ちあげるので、美術部は兼用難しいんです。園芸部に入るのは決めちゃったし」 「――……園芸部」 海栄の笑顔が一瞬真顔になったのが分かる。 真顔になった先輩は、すぐにまた笑ったけれど近衛はその笑顔を射抜く様に睨んでいる。 「へえ! いいじゃん。園芸部はうちも朝部で花を描きに行ったりしてるし交流あるし。こいつは油絵だけど、俺の向日葵は水彩画だから。見た?」 「見てないです。何処に飾っていますか?」 「こっちこっちっ」 利香の手を引っ張ると、黒板の前の一番目立つ場所――近衛とは対照的な場所に飾られた水彩画を見せてくれた。 「ちゃーんと温室まで行って描いてたんだ。模写模写」 「……模写の意味分かってますか? こっちの方が抽象画っぽいですよ」 海栄先輩の向日葵は、何故か牙があり目があり、ライオンみたいだった。 向日葵ライオンだ。
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