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「あー、サッカー部は恋愛派遣どころじゃねーな。これは」
「そうだね」
八人のマネージャーは、希望調査票の結果に赤くなったり青くなったり、右往左往したり、表情を変えるだけでも忙しそうだった。
「まだ80――!」
サッカー部の部室を出ると、体育館と校舎の間にある、渡り廊下の裏のコンクリートがむき出しの部分に、野球部の20人近くが筋トレしていた。その筋トレ姿と言えば、みなもがいたら鼻血を出して倒れかねない、いや、みなもが阿鼻叫喚するような光景だ。
全員、上の服を脱ぎ腕立て伏せをしている。
その引き締まった筋肉に、利香は思わず歩夢のぴっらぴらと腕の服を捲ってみた。余りの違いに何度も何度も見ていると、やはりデコピンされてしまったようだ。
「すごいね。野球部めっちゃ気合入ってる」
「あいつらはレギュラーか。近衛の指示に息がぴったりだ」
近衛が指揮を取り腕たせ伏せをしているが、雨の気温も高くない日にも関わらず、背中には汗が光っている。
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