二、部活紹介二日目

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兎のように走り回ると、運動場には男子の塊が至る所にあった。 運動部には圧倒的に男子が集まっている。文化部にはほぼ見かけなかった理由は此方に居たからだ。 野球部なんてもう何十人いるのか分からないけれど、大きな集団が部室の前で話を聞いていた。 見えなかったけれどあの集団の中心部に近衛が居るならば、美術部には居ないのかもしれない。 美術部は、昨日体育館の近くの渡り廊下で見かけた通り、体育館隣の校舎、一階にある。 中庭の大きなサクラの木の影になっていて、少しだけひんやりした廊下を歩くと、中は静かだった。 中を覗くと、見学者用に壁や机の上に絵を飾っているのが見える。 だが、中に人の気配がしなかった。 「あのー」 ガラガラと立て付けの悪い扉をスライドさせたら、ツンとした絵具の匂いが充満している。シンナーの匂いだろうか。 思わず眉を潜めると、足がグチャりと何かを踏んだ。 床が、緑色の苔一面に染まっている。 「絵具?」 どうやら利香は、零れた絵具を思いっきり踏んでしまったらしい。
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