三、乙女の姿しばしとどめぬ。

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「すまない。……いや、有難う、か。お前はいつも優しいのか、意地悪なのか、馬鹿なのか、分からないが」 「どれも違うかも。俺は、無償のなんちゃらってのは持ち合わせてないから」 「?」 輝夜が首を傾げると、聴こえない小さな声で『鈍感』と毒付いてから歩夢は笑う。 「お前を、生徒会長の座から引きずり落とすのってきっと快感だろうな」 「ゲス」 「利香のお陰で、学園生活が超楽しくなりそう」 「……利香、か。あいつは危なっかしいから同じ部活でどうか助けてやってくれ」 小さな頃から、輝夜の後ろをとことこと着いてきてくれた可愛い妹。輝夜の、一番大切な存在かもしれない。利香の潜在能力は、輝夜よりも、努力の近衛よりも、歩夢よりもある。そして、それを彼女は気づき始めて、この学園に乗り込んで来た。 「その余裕の発言、後悔しないといいな」
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