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2限目の授業から丁度雨が降り始めた。雨はまばらからザーザーと地面にたたき落とす激しい雨へと変わって行く。
みなもは黒板を真っ直ぐ見ながら、熟睡する特技を存分に発揮し、利香は雨がぶつかる窓を、シャーペンを回しながら見ている。
雨になると、一階の体育館の回りの渡り廊下が、運動部の自主トレ場所へ姿を変えるらしい。手が開いた先生たちでマットを引いたり、地面に滑り止めを巻いたりしている。
そんな先生の様子を、うつらうつら船を漕いでいた歩夢も視界の隅で捉えていた。
「歩夢くん」
放課後、教科書の入っていない軽いカバンを肩に担ぐと、後ろから声がする。
振り返って誰も居ないと眉を潜めると今度は視界に手が現れる。ブンブンと振られて下を向けば菫が歩夢に手を振っていた。
「えっと、三年の特進の、」
「崎山です。知っててくれたの?」
「可愛い顔だからね。そっちも俺の名前知ってるじゃん」
成績上位40名だけの特別進学クラスは、輝夜も千昌もいるが授業も一緒になることがないので関わりが少ない。一年学年が違えば接点はほぼない。
だが、菫の顔は綺麗で目立っていたので歩夢は顔だけは知っていた。
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