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「歩夢君、目立つじゃない。知らないわけないよ」
菫は、花が咲き乱れるような屈託の無い笑顔でそう話す。歩夢は見た目がどうみてもヤンチャ系なので真面目な生徒からは遠巻きに見られがちなのだが、菫のそんな偏見のない雰囲気には好感を持てた。
「そう? じゃあ、俺ももう崎山サンのこと忘れないし。あ、アドレス交換しとこうか?」
「や、違うの、そんな話じゃなくてね」
驚いて慌てふためく菫の手は、挙動不審だった。だが、すぐに真面目な顔をする。
「輝夜くん、お昼から授業に出てないらしいんだけどどうしたの?」
「は?」
「千昌さんが将棋の大会で午後から公欠だから心配になっちゃって」
「や、待って。なんで俺なわけ?」
「だって幼馴染なんでしょ?」
「は?」
「違うの?」
「違わないけど」
学校では仲が悪い素振りしか見せていない自分に、何故輝夜の事を聞いてくるのかが不思議だった。幼馴染でも、仲が悪いかもしれないのに。
「希望調査のことで朝から探してるのに、見つからなくて」
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