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「レオ、違う。それは、――違うの」
「何で? あいつめっちゃ良いじゃん」
「そうだよ。でもね」
「雪の日に、お前を見つけたのは響也だろ。俺は見つけ出してあげられなかった」
「レオ」
車椅子から振り返ろうとしたら、菫はエレベーターに押し込められた。
ピンクのレインコートを頭から被った玲音は、ニッコリ笑って
下に降りていく菫に手を振っていた。
その笑顔は、雨が降る今日の、唯一の太陽の様だった。
「レオ」
利香は知らないだろう。言えない思いもある。言ったら全て崩れてしまう言葉がある。言えないのは聞いてもらえないからだ。言えないのは、――怖いからだ。擦れ違い、傷つけあい、全てが変わってしまうかもしれない。
そんな切ない恋心も、胸の中で溢れて泣いている。
菫は思う。そんなに簡単なものじゃないのよ、と。
利香が今、始めようとしている部活は。
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