四、部活結成。

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「レオ、違う。それは、――違うの」 「何で? あいつめっちゃ良いじゃん」 「そうだよ。でもね」 「雪の日に、お前を見つけたのは響也だろ。俺は見つけ出してあげられなかった」 「レオ」 車椅子から振り返ろうとしたら、菫はエレベーターに押し込められた。 ピンクのレインコートを頭から被った玲音は、ニッコリ笑って 下に降りていく菫に手を振っていた。 その笑顔は、雨が降る今日の、唯一の太陽の様だった。 「レオ」 利香は知らないだろう。言えない思いもある。言ったら全て崩れてしまう言葉がある。言えないのは聞いてもらえないからだ。言えないのは、――怖いからだ。擦れ違い、傷つけあい、全てが変わってしまうかもしれない。 そんな切ない恋心も、胸の中で溢れて泣いている。 菫は思う。そんなに簡単なものじゃないのよ、と。 利香が今、始めようとしている部活は。
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