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けれど思いっきり泣いたら、翌日には湊への気持ちは驚くほどスッキリとしていた。
元々すごく好きになって付き合ったわけではなかったし、あんなに可愛いやよいと一緒にいたら好きになっても仕方ないという諦めのような気持ちもあった。
やよいに対しては、申し訳ない気持ちにさえなっていた。
考えてみれば、彼女は私を裏切ったわけではない。
やよいは湊を好きにもかかわらず、友達である私に遠慮して湊の告白を断ったのだ。
バックヤードを去る間際に涙を浮かべて私を見上げたあの表情が、脳裏に焼き付いて離れない。
あんなに切ない表情をして湊のことを想っているくせに、私との友情を優先してくれたやよいを、私も友達としてちゃんと応援してあげなきゃ、と思った。
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