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彼女は少しはにかみながら、私を上目遣いで見上げた。
まぁ背が低いから必然とそうなってしまうのだろうが、それは男子にとってはかなり勘違いさせる仕草だろう。
「あ、あの...私、今日隣に引っ越してきた萩原やよいです。
よかったら、これ......」
渡されたのは引っ越し蕎麦ではなく、どこかのブランドの名前の入ったタオルだった。
「あ、わざわざすみません。佐藤美来(みらい)です。
これからお隣同士、よろしくお願いします」
そうは言っても、このアパートで盛んに近所付き合いが行われているわけではない。
現にもう一方のお隣さんとは私が引っ越してきた際に一応挨拶には行ったものの、それからは偶然会ってしまった時に軽く会釈する程度の仲だ。
すると、彼女はいきなりハァーッと大きく息を吐いた。
「お隣さんがいい人で本当によかったぁ。
あの...もしよかったら、お友達になってもらえませんか?
初めてのひとり暮らしで、まだこちらに友達がひとりもいなくて心細いんです」
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