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泣いているわけでもないのにウルウルとした瞳で縋るように見つめられると、断ることがまるで犯罪のように思えてしまう。
そうか、このウルウルに男共はイチコロになるのか......
そんな教訓をひとつ学びつつ、「別に大丈夫ですよ」と思わず答えていた。
たちまち彼女の表情が花が咲いたような笑顔になった。
「嬉しいっ!
あ、あの...もし、ご迷惑でなければ......一緒に引っ越し蕎麦食べてもらえませんか?
引っ越しする時に母が持たせてくれたんですけど、ひとりで食べる気にはなれなくて」
なんか、すっごい懐かれてんな......
でも正直、女の子、特に可愛い女の子に懐かれるのは嫌じゃないし、中・高と女子校だった私は慣れてもいた。
本当はもっと寝ていたい気持ちもあったけど、もうすっかり頭は冴えてしまっていたし、蕎麦と聞いたら急にお腹も空いてきた。
「じゃぁ、お言葉に甘えてお邪魔しちゃおうかな」
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