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=ルトにいっみてみて!おにわのみんなからドングリもらった~!=
「ん、あ、ああよかったな...」
俺はぐったりとしながら机に突っ伏している。大分掃除をしたが一向に改善されたようには思えなかった。こうも状況が変わらないと流石に落ち込む。
「今日はここで寝るのは諦めたほうがいいな...」
掃除の際この建物をすみずみまで探索したが教会の奥に小さな家があってそこに俺が住めそうなスペースがあった。(牧師は、教会に住み込みでも宿屋暮らしでも家を買っても基本個人の自由で許されている。金があればの話だが。)しかしその家も、もちろん埃だらけで住めたものではない。まずはそっちを何とかしないといけない事に今更気付いて、より落ち込んでいる。
=あのね、きてきて!=
「??」
服の裾をつつき引っ張ってきた。俺は足を引きずりながらついていく。外はもうすっかり夜で真っ暗だった。
=おソラきれいなんだよ=
つられて上を向く。星と月の吸い込まれそうな幻想的な世界が広がっていた。
「・・・うん、きれーだ」
=ねー?=
「そうだな、今日は屋上で寝るか」
=うん!=
昔こうやって昼寝をしていたので屋上には慣れている。ぐっすり寝るのは無理だろうが仮眠ぐらいはとれるだろう。少しだけ元気になった俺は教会の一階に荷物を置き、屋上に上がった。流石に天井までは埃の脅威はのびてないようだ。そこで寝転がってみる。空の星が掴めそうな気がする。手を伸ばしてみた。
=おホシさまとれたらリリにちょうだい?=
「うん、そうだな。わかったよ」
俺はもぞもぞ返事を返して、眠りについた。
『あ、起きた?』
目の前にダッツが立ってる。
おかしい。
奴は死んだはず。
『僕の生贄、なぜお前だけのうのうと生きてるんだ?』
その言葉にギクリとする。冷や汗が背中を伝い、体が金縛りにあったうように動けなくなる。
『妹を返せ、妹はどこだ』
頭の中に恨めしそうなダッツの声が反響する。酷い頭痛がする。
「し、知らない!」
『僕は悪魔と堕ちた、妹のもとにも行けない』
「うるさい!」
『お前のせいだ、お前のせいだ!!』
「やめろ!やめてくれっ!!」
俺を責める声が頭に木霊する。
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