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どうして。
(見たところ低位っぽいし、それほど知恵が回らないとか・・・?)
怪しむように睨んでいると悪魔は楽しそうに笑い出した。
=くくっ=
悪魔は狂ったように笑って俺の周りを飛び続ける。
「何笑ってるんだ」
=くくくっ=
目を離すまいと悪魔を睨みつけた。そしてゆっくりと、胸元に入っているポケット聖書に手を伸し唱える準備をする。教会の中ほどではないが、屋上でも少しは効くはず。
=やってみろよ、効かねーから=
「?!?」
俺の意図を読んだ悪魔がにやりと笑う。俺は動揺を隠せず、ジリジリと距離を縮めながら尋ねた。
「どういうことだ?!」
=ここの教会は守られてねーもん=
・・・は?
=ガーゴイルの像、ねえだろ?=
「像?なんのことだ?」
=くく!そんなことも知らないんだ?今回の牧師は面白いな~人魚ってのも噂通りだしボスに教えてあげよっと、ククク!=
「あっおい!どこ行く!」
インキュバスは笑いながら空へと飛んでいった。奴の姿が見えなくなり俺は緊張の糸が切れ、膝から崩れ落ちてしまう。
どうゆうことだ...ガーゴイルの像?人魚?噂通り?
「って!あ!リリ!リリはどこだ??リリーーーーっ!」
=・・・ここ、ここだよお~=
遠くの方から声が聞こえてくる。だが、どこからはわからない。どこだ??どこにいるんだ??
――にゃあん
ビクッと体が反応する。
「なんっ・・・あ!」
声のした方を見ると真っ赤な猫がいた。左目に眼帯をつけている不思議な猫だった。・・・変わった首輪(眼帯付きとは)だな。その猫がおもむろに上を見る。俺もつられて上を見たら、教会の鐘にリリが縛り付けられてるのが目に入る。
「リリ!!!」
きっとあの悪魔の仕業だ。俺は急いでリリを助けに行った。
――ゴーン...ゴーン...
12時を知らせる鐘が鳴る。
「はあっ、はあっ・・・危なかった・・・」
もしもあと少し気づくのが遅くなっていたらリリは鐘に挟まれて大変なことになってたかもしれない...そんな想像をしたら寒気がした。
「はあ、はあ・・・猫、お前のおかげで助かったよ...って、あれ?」
さっきまで足元にいたはずの猫が消えていた。
「・・・なんだ魚でもおごってやろうかと思ったのに」
=だいじょうぶ?ルトにい=
「あ、ああ。でもやっぱ屋根の上で寝るのは無防備みたいだ、とりあえず中に入ろう」
=んー=
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