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「あ、ああああああバン!!そっそそそそその子はかの、かのじ」
「夜中に悪いんだが、ちょっと二階を開けてくれないか?彼がここを所望してるんだ」
「それはいいけど...連れ込むなら店が違うよ???」
連れ込みだと?!
「ひいい!」
俺がギロリと睨めば男は怯むように一歩下がった。
「どうどう」
ぽん、と頭にバンの手が置かれる。
「安心しろ、仕事話だよ」
「ならいいけど...」
俺をチラチラと見ながらバンと話してる男。その姿を見て俺は思い出した。
(この顔どこかで見たと思ったら、昼間俺が注文を頼んだときすっげー顔真っ赤にして逃げた店員じゃんか)
今の今まで忘れてたけどな。
「さ、行くか、ルト」
そんな考え事をしてる間に二人は話が済んだようでバンがこっちを見ていた。堂々としたその姿はさすがの貫禄があった。
「...へえ。ガーゴイルの像ね」
俺は今日見たこと・起きたことの全てをありのまま伝えた。
「まあ悪魔の言葉だから、あまりあてにするのいけないんだけど。ヒントがこれしかない。このままじゃ安心して眠れないし財布も空だし...路頭に迷う、というか迷ってる」
「ふーむ」
バンは考え込むように唸った。
「そういう事は専門家に聞かないとよくわからないが・・・教会については結構知ってるぞ」
「ほんとか!」
「で、言いにくいんだが...あの教会は呪われてるって噂だ。」
「呪い?!」
(悪魔の次は呪いときたか...これからは何を言われてもあまり驚かなくなりそうだな...)
「教会が呪われてると言われ始めたのは十年前ぐらいだったかな。昔はあそこの教会も評判が良くてなかなか人気だったし教会近くの公園のホタルが街の名物になっていた。だが、急に通う者がパタリと途絶え、それからそこにつく牧師は皆、変死を遂げるようになった。」
「変死...」
馬車の男、門番の反応、これではっきりと納得できた。
(なるほどね、俺がこの教会に送り込まれる哀れな生贄の子羊に見えたってわけ)
呪いの教会に配属される新しい牧師、と知ってあの顔をしてたんだ。
(・・・馬鹿にするな)
俺はこんなとこで死んでたまるか。それに、どんなジョークだよ!牧師が教会にいくせいで変死を遂げるって!そんな教会によくも俺を配属させようとしたな、本部のやつめ!!
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