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「教会で落ちてたんだ、怪我してるから世話してる。」
「なるほど、ルトは動物にもモテモテですなー」
「うるさい。...で、わかったのか?」
その話題をふると一気にバンの顔が引き締まった。
「ああ。一応結果から言うとだな。五分五分だった。」
「は?」
俺は昨日、舌で見分ける方法があるということを思い出した。
その情報を元に「10年前からこの街に住んでる者の中に舌先の割れてるもの、もしくは舌に怪我をしているもの、舌の手術をしたものが何人いるか調べて欲しい、少なければその者たちの素性も」と依頼したのだ。
それが、五分五分?
どうゆうことだよ??
悪魔が人間に化けていても隠せない唯一の部分。見分けるには舌を調べるしかない。
十年前から教会がおかしくなったとして、そのときから人間に化けて街に住み何か良からぬ事を企んでいるとするなら、この条件で調べられるはずなのに・・・。
「...つまり、該当者の半分がその条件を満たしてるわけだ。」
「えっ!」
(う、うそだろ?!)
今まで俺は一度もそんな舌をした奴と会ったことがない。そんなグレー人間がごろごろといてたまるかよ...!俺がイライラしだすと、膝の上の猫が起きておりていった。夕方の残り少ない夕日を避けるように日陰でまた寝始める。
「...該当者はあわせて300にのぼる。あと、日陰者で情報としてない奴も含めればもっといるはずだ。これの中に呪いの犯人がいるとしても、一週間で絞り込むのは難しいぞ。」
「...。」
俺は項垂れながら机のひんやりとした冷たさに目を閉じた。
(また振り出しに戻る、か)
期間内に見つけ出せなければこっちが危ない。しかも、300人も一気に見張るなんて一人では不可能だ。俺の様子を何とも言えぬ顔で見ていたバンが口を開いた。
「ここの街にも、俗に言う、ゴロツキってのがいるんだけどよ。そのゴロツキ集団に“スネーカー”って呼ばれてる集団があるんだ。」
「スネーカー、蛇?」
「ああ。そいつらは他の集団と違ってタトゥーはいれないんだ。舌を...こうやって割くんだとさ。」
バンが実際に口を開けて2本の指で舌の先を挟むように動かした。
「まさか、それ...」
「おう。その集団に憧れてたり所属してたやつは全員舌が割れてる...つまりルトの条件に該当する人間たちってわけだ。」
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