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「...今度触ったら聖書で殴る!」
「だからそれって牧師としててどうよ、ルト」
「いや、バン!こいつに聖書はかなり効くんだ!」
「ハハハ。まあその重い本の角でもあたったら流石に効くだろうが、とりあえずしまいな?怖いから」
「そうだそうだ~暴力はんターイ!けけけ!」
俺の代わりにベッドに寝そべってくつろぐザクが手をひらひらさせて言った。...人間の姿になっても猫の時のふてぶてしさはご健在のようで。
ため息をついてから大きな伸びをする。
三日間動かしてない体はボキボキっと良い音が鳴って気持ちがいい。
「バン...俺、教会に一度戻ってみる」
「えっ、体はいいのか?」
「もう大丈夫だと思う。助かった。シータにも...」
お礼を、って、シータ!!!!!!!
流れで言いそうになったけど!!
あの忌々しい記憶が呼び起こされ顔が嫌悪に歪んだ。
(シータは俺を、騙していたはず...みんなはそれを知ってるのか???)
「バン~そろそろ昼ごはんできるけど、どうする?って、あ。ルト君起きたの?」
「し、シータ!????」
「どうしたんだい?俺の顔になにかついてる??」
目の前にはいつものシータがいた。
おかしい。
三日前に見たあの冷徹で蛇みたいな男はどこへいった...
「おいルト。やっぱり様子が変じゃないか?寝てたほうが...」
「あ、いや、...なんでもない」
なんだ?俺だけが変な夢でも見てたってのか?俺が店を飛び出す前のままのバンとシータ。なんの違和感もない。・・・あれはシータに似た幻覚だったってこと...か?でもまだ口の感触が残っている気がする。あれは夢じゃなかった。シータの双子とか??
だめだ、混乱してちゃんと考えられない。
「・・・事件が解決したのに、これ以上迷惑かけるわけにいかない、そろそろ行くよ」
「はあ、わかったよ。あんま力になれなくてすまなかったな、ルト」
「ルトくん、またいつでも食べに来てねー」
「うん、ありがと・・」
混乱していたが、特に身支度するものもないので、すぐに準備が整った。扉を開けようと手を伸ばす。
「ルト」
「ん?」
ふと、バンに呼ばれたので振り返る。
ばしーん
「?!」
左頬がピリピリと痛い。でも手加減されたのかすぐに痛みは引いた。目の前に右手を掲げたままのバンが立ってる。
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