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「心配、したんだぞ」
バンが怒ってる。
怒られる理由はたくさんありすぎて何も言えない。どうもバンが静かすぎると思ったら、怒るのを堪えてただけだったのか。
「・・・・ごめん、なさい」
きちんとバンの言葉を聞いておけばよかった。今更になって思い知る。それがわかってるからこそこの言葉以外何も言えなかった。俺が思ったよりも静かなのを見てバンも表情を緩める。
「あ!いや、俺こそ...病み上がりに悪かった。痛くないか?日を置いて言おうと思ったんだが、堪えれなかった...」
「うん、痛い」
「ううっ力は抜いたんだが」
「でも」
――...でも、嬉しい。
鬼教官のように仕事で叱ったわけではない。
バンは、心配して怒ってくれたんだ。
この街に来て散々な思いばかりしてるけど、こんな居場所のあるこの街のことを、嫌いにはなれない。
「けけけ、怒られて嬉しいとかMなのかお前」
「わ!勝手に心を読むなよ!ザク」
俺とザクのやり取りを見ながら、全てを包み込むようにバンが豪快に笑った。
「ハハハ!また飲もうぜ!今度はそこの兄ちゃんも一緒に皆でな!」
こうして、
長い一週間が終わった
あれから目立った“呪い”はない
ザクの言うとおりだった
(悪魔の姿も見えない)
俺はその間、
廃れきってしまった教会を掃除し続けた
そしてやっと
俺がこの街に来て一ヶ月たち
「よし!!」
光り輝く十字架。
金色の鐘。
どこまでも白い壁。
雑草一つない庭。
=わあ~!きれー!=
――にゃおん。
黄色の鳥と赤い猫を携えて
俺の、牧師生活が始まったのだった―――――
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