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「でもおかしいな、ここは悪魔の匂いしかしねーぞ?」
「は?また匂い?」
「ああ、この路地からは人間の匂いがしないんだ。爺さんが通ったなら何かしら匂いが残ってるはずなんだが」
「...」
どうゆうことだ?
お爺さんはこっちを通ってなかった?
それとも道をどこかで間違ってたとか??
「もしくは、爺さんが悪魔、とかな」
「なっそんなわけない!」
「何を根拠にそう思うんだ?」
「触れたし、無害そうだったし...」
「俺様だってお前に触れられるぞ?無害そうってのはシータとかいうあの男の件で学んだんじゃないか~?」
「う...」
確かに、悪魔は見かけを騙すことができる。
見かけで判断をしてはいけない事はわかってる、つもりだ。
でも。
孫のことを本当に想っていた。
だからこそ俺も協力したいと思えたんだ。
ネックレスの美しさがそれを表している気がする。
「・・・なんか、違う。優しそうに偽ってたシータたちとはまた違うんだ」
俺は小さな声で、つぶやいた。
あのお爺さんは悪い奴ではないと思う。ましてや悪魔だなんてありえない。そう、信じたい。何度も裏切られてるのに馬鹿だな俺は、何て思っていると。
「...はあ。ったく。わーったよ、一緒に探してやる」
「え、酒はいいのか」
「またお前が絡まれたらたまらないからな。俺様の大事なオカズは誰にも渡さねえ」
「おかっ・・・普通に守るって言えばいいだろ!変態!今度1m以上近づいたら怒るからなっ」
「そんな怒んなよ襲いたくなるじゃねーの」
「死ね!!!」
俺は奴を置いて、路地の奥に進んでいく。
しばらく暗い路地を歩いていくと
どこからか
鳥のさえずりが聞こえてきた。
(こんな夜に、鳥の声?)
俺が声のする方に歩いていくと、空から白い羽が落ちてきた。
空を見上げると何かが飛んでいくのが見えた。
月にちょうどかぶって、シルエットでしか見えなかったが...あれは鳥の形をしていた。
(なんだったんだ、今の)
=にいー!!ルトにい~!=
「あ、リリ!!よかった無事だったか!」
俺が空を見ていると路地の奥から可愛い声が聞こえてきた。黄色い翼を思いっきり伸ばし俺に抱きついてくる。この小さな小鳥の温かさがとても懐かしく感じた。
=あのね、あのね!おじーちゃんみつけたよ!=
「えっほんとか?」
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