第二章「カラドリオス祭」

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「あ!!」 「どうしました?」 (ここが...どこかわかんないんだった...) 一気に冷や汗が流れていく。 元々迷子になってたうえにリリの案内でじぐざぐと複雑に移動してしまい、完全に帰り道を見失ってしまっていたのだ。 周りを見るが旧市街地のどこかということしかわからない。困っていると、路地に複数の足音が響いてきた。 「あれあれあれえ?そこにいるのってー奇跡の牧師サマじゃねー?」 声を聞いたザクが舌打ちする。 俺たちの目の前には10人ほどのゴロツキ集団が現れたのだ。各々武器になりそうなものを見えるようにチラつかせて、脅してくる。 ――はあ。 ため息をつく。 「奇跡の牧師?人違いじゃないのか」 今の俺は牧師服を着てはいるが仮面をしてるし、素性が完全にバレたわけではないはず。ここはしらを切ってやり過ごすべきだろう。俺はなるべく動揺を見せないように話しだした。 「い~や、俺が間違えるはずねー」 そう言ってゴロツキ集団からリーダーらしき男が出てきた。(あ…あいつ!!俺をシータのところに連行した奴らの一人の…)格好を見て思い出した、一人だけ背が高くて金髪で目立っていたから覚えている。 「俺は鼻がいいんだ。動物並みにな。」 (奇遇だな、どこかの誰かも変態的に鼻がよくて困ってる) ちらっと見てみると、ザクはいつも通り長い腕を腰に当てて悠々と欠伸をしていた。 「だから間違えるはずねー、あの時連れてった女牧師の」 「――誰が女だ!!!」 「はっはーん、やっぱあんただ!」 「ああ!ミスった・・・」 「ばーか」 後ろでボソッとザクがつぶやく。 自ら墓穴を掘ってしまったのはわかってるが、こればっかりは我慢できない!俺は男だし、一人前の大人として認められ生きてるんだぞ!! 「ほらな。すんげーキレイな顔した美人牧師だなんてやりがいあるだろ?」 リーダーらしき男がそう問いかけると後ろに控えていたゴロツキ集団が武器を振り回して賛成というように吠えた。野次を飛ばしながらゆっくりと距離を詰めてくる。 =にぃ~こわい~= 「リリ…大丈夫、ちゃんと隠れてろ」 俺はポケットに深く押し込んでお爺さんの様子を伺う。あの足じゃ長距離走らせるなんて不可能だろう。 (だとしたら、足で撒くのは諦めないと…もう俺が囮になるしかないか??)
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