第1章

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そのせいで俺は人を2人殺してしまい、30数年前からこの地で、世捨て人同然の暮らしをしていた。 大学に入学し、校内の廊下を友人数人と次の授業がある教室まで歩いているとき、窓の外を眺めながら歩いていた友人の1人が、俺に声をかける。 「おい!!あれを見ろ」 友人が指差すところを見た。 一番の親友と思っていた男と、まだ手を握るところまでしか行っていない俺の彼女が、親友の車の中で抱き合い、濃厚なキスをしている所が見える。 俺は、カッ! として、親友の車を発火させてしまう。 車は、乗っていた2人が逃げる間も無い勢いで、燃え上がった。 車が発火した原因は、警察も解明できず。 俺の能力を知らない、友人や周りの人達は、俺に2重の意味、親友と彼女の浮気と、2人の不可解な死で同情してくれた。 しかし俺は、俺の能力で人を殺してしまった事に恐れをなし、大学を止めこの山奥に移り住む。 風呂から上がり夕食を食べ、日が暮れると同時に床に入る。 だが今日はすぐに寝る事ができない。 数年ぶりに見た若い女性の、野良着のあちらこちらから見えた、健康的なうなじや二の腕。 それらを思い出し、俺は年甲斐もなく自身を慰める。
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