第1章

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返事を打ちながらチョッピリ気が重かった。 あっちゃんを欺いていることを見透かされたらという不安と、昨日のことをちゃんと伝えるべきなのではという気持ちで揺れ動いていた。 まだ付き合いはじめて間がないんだから、今ならあっちゃんを深く傷つけることなく前の二人に戻れるかもしれない。 彼のことが嫌いな訳じゃない。寧ろ好きだ。だけどその好きは高村くんに感じたような恋しい気持ちじゃない。 離れたくないとか会いたいと強く願うような気持ちじゃない。 どう伝えればお互い苦しまなくて済むんだろう。 それとも伝えないで互いの気持ちがどう変わるのか、もう少し付き合ってみた方がいいのか…? 答えが出せないままポケットのメモを取り出した。 高村くんのアドレス… 私を送ってずぶ濡れになったことが原因で熱が出たのなら、私のせいでもある。 彼が一人で寝込んでいるなら、力になりたい。 無視されるかもしれない。 それでも… アドレスを入力した。
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