第1章

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『浅井です。 熱が出て朝から早退したと七海に聞きました。 大丈夫ですか? 病院に行きましたか? ご飯は食べれていますか?』 なるべく感情を込めないで書いたメール… 両手で携帯を包むように持って、送信ボタンが押せなくて文章を眺めていた。 送るのが怖かった。送って返事が来ないのも苦しいし、来てもその内容を見るのが怖い。 書いて何分経ったんだろう。微動だにしないでしばらく携帯を眺めながら、昨夜の高村くんのことを考えていた。 冷たい雨の中感じた彼の熱 冷たく湿った唇 初めてなのに怖くなかった。幸せを感じていた。 ずっと繋がっていたいと思えた。 そのどれもが初めてのこと… 私は高村くんが… …好き。 そう思えたとき、送信ボタンを押していた。
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