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「カンナ、ちょっとカンナってば!」
『何だよ、大きい声出して』
どこかの部屋で受けたらしいカンナの声が返ってきた。
「私、すっかりクレアちゃんの着替え持ってくるの忘れちゃったの。バッグの所に袋あるから持ってきてくれない?」
『袋?』
「そうよ。カンナが食材買ってる間に下着売り場行って買ってきたの。私の見立てで、可愛いヤツ。えっとね、ピンクの生地にレースが…」
『説明は良いから!』
エティアが語りだしたので、慌ててカンナがそれを遮り一方的に通話を終えた。
「何よ、つまんないわね」
「エティアさん、あの…説明しようとしてたの、私の下着なんですけど」
「え?あ、そうだったわね」
一番重要な部分がすっかり抜け落ちていて、エティアが笑って誤魔化した。
もしエティアが下着の説明をしてしまっていたら、カンナにどんな物なのか知られてしまうわけで、さすがにそれは恥ずかしすぎる。
エティアさんって時々天然だよね、とクレアが心の中で呟いた。
向かい合って湯船に浸かっていると、自分とのサイズの差もさながら胸の小ささがコンプレックスだからか、見ないようにしようと思ってもどうしてもその豊かな胸に視線が行ってしまい、自分の物と見比べてため息を吐いた。
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