第1章

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「良かったな」って。今度、洸樹と3人でご飯に行く約束をして梓ちゃんと別れた。 会社に戻りながら「蓮、良かったな。梓ちゃん、いい奴と巡りあったぞ。これでいいんだろ?」と空を見上げて呟いた。 耳元で風がヒューっと鳴った。 「…蓮?…」 フッと鼻で笑って歩きはじめる。携帯を確認すると竜二さんからメールが来てた。 「たまには顔出せ。」 相変わらず、多くを語らない短いメール。だけど思いが伝わるメールだ。竜二さんは《Barエメロード》のオーナーであり超イケメンマスターでもある。蓮とよく飲みに行ってた。俺達を気にかけてくれて、兄貴みたいな人だ。今でもこうして連絡してくれる。 今日、帰りに寄るよ。と返信して午後の仕事に向かう。 仕事を終え、時間は9時過ぎ。ちょっとだけ顔出して帰ろ。 《Barエメロード》のドアを開ける。 「いらっしゃいませ」 竜二さんとバーテンの玲二さんが笑顔で迎えてくれる。 「こんばんは。はぁ~相変わらずふたり揃って強烈なイケメンぷりっすね。」 「尚。何言ってんだ?イケメンはお前だろ。」玲二さんがしれっと言う。 「はぁ?俺?足元にも及びませんから」 「尚。くだらない事言ってんな。早く座れ。何にする?」と竜二さんが、おしぼりをくれる。 「竜二さん。いつもありがとっすね。」 「…お前、何かあったか?」 「えっ?何で?」 「ふっ…。顔に書いてある。」 「何すかぁ?それ。あっ、嬉しい事がありました。梓ちゃんが洸樹との結婚考えてみようと思ってるって報告しに来てくれて、本当に良かったなって。蓮、安心したかな…きっと安心したよね。 梓ちゃん、蓮にさよならとありがとうを言って来たって。ケジメつけに行ったんだよね。やっと前に進めたんだ。 蓮を忘れる事は出来ないって言ったら洸樹の奴が蓮の事忘れる必要はないって…一緒に覚えていようって言ってくれたって梓ちゃん泣いて話してくれました。」 「そうか。梓ちゃん、良かったな。」 竜二さんも玲二さんも嬉しそうに言った。
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