第1章

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竜二さんが俺を見る 「お前…何か企んでないか?」 ドキッ…。 「何も企んでないっすよぉ~あっそうだ!今日、蓮が夢に出で来たんでカクテル、蓮の分もいいですか?」 竜二さんは、ちょっと眉間に皺を寄せて、はぐらかしやがったな的な顔をしたけど、ごめん。今はスルー。 「ああ。勿論いいよ。あれ作るか?」 「はい。お願いします。」 カクテルを作る姿が、これまたカッコいいなんて、よく蓮と文句つけてたっけ。 「お待たせしました。ラスティ・ネイルです。」 竜二さんが俺の前と隣の席にコースターを置いてラスティ・ネイルを出してくれる。 「ありがとうございます。蓮、乾杯。」 俺達が背伸びして初めて飲んだカクテル。 一口飲むと懐かしい味がしたと同時にあの時が甦る…。 スコッチウイスキーが何だか大人っぽくてロックグラスを持つ手がまだぎこちなくて…………。 ……優しい沈黙を破る声 キィィ…「こんばんは。あらっ久しぶりだね。ナオ。」 ん?この声は… 「みっみみみ美琴さぁ~ん!」 思わず、どもってしまった。 ぶっハハハ!!竜二さんが吹き出して玲二さんはクスクス笑ってる。 この美琴さんて、ここの常連なんだけど謎が多くて名前を知るまでは謎のロン毛美女と呼んでいた。俺と蓮がね。こっそりとだけど。 綺麗な顔に栗色のロン毛。ダークなワインレッドの口紅にマニキュアも光沢のあるワインレッド。超美人なのに毒舌で醸し出す雰囲気はミステリアス。カウンターの端から2番目が美琴さんの特等席。
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