第1章

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「美琴さん、お久しぶりです。俺、ここに来てたんですけど、美琴さんとスレ違いばかりで会えなかったっす。相変わらず美しいですけど、もしかして魔女っすか?」 「ふふっ。ナオ、あんたは相変わらず生意気ね。元気そうでなによりよ。 竜、いつもの。玲、何か美味しいの作って。」 「了解」と竜二さんが。「わかりました。」と玲二さんが。 「おおー!!美琴さん健在!なんか感動する。」 「ふふっ。年下で私に生意気な口利くのナオとレンだけよ。謎のロン毛美女って、丸聞こえだったわ。」 ブッっ!ゴボッゴボッ…むせた。 ぶっハハハ!!Barに相応しくない勢いで竜二さんが笑いだす。厨房で玲二さんまでも声を出して笑ってる…。 蓮…何か…バレてるんだけど…。 「えーと。美琴さん。」 「ふふっ。可笑しい。アハハハ別に怒ってないわよアハハハ」 何か知らないけど取り敢えずセーフ? 「ナオ…あんた…まだ」 「えっ?」 「ううん。何でもないわ。それよりナオ、何か企んでない?」 …ドキッ…何だよ美琴さんまで… 「何すかぁ~美琴さんまでぇ。竜二さんと同じ事いうって、酷いなぁ。俺、何も企んでないっすよぉ~。」 「顔に書いてある…。」 「ウケる。竜二さんと同じ事言ってる。マジで俺、何も企んでないっすから。どんだけだよ。」 俺はカクテルを蓮の分も飲み干し、竜二さんにチェックしてと合図をおくる。 「美琴さん、今日はもう帰ります。今度、時間がある時に生意気たくさん言いますからよろしくお願いします。」 「ふふっ。ナオちょっとこっち」 近くに行くと、美琴さんが「頑張るな」って頭を撫でた。 「気をつけて帰りなさい。またね、ナオ。」 「はい。じゃあまた。」 チェックカウンターに行くと竜二さんが今日は奢りだと言ってくれて…断ったけど結局ごちになってしまった。 お礼を言ってBarを出た。 美琴さんに見透かされてるみたいだった。頑張るなと言われて、嬉しくて本当は泣きそうになった…。 頑張れではなく…「頑張るな」って。
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