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「………はぁ、はぁ、ひとまずはここで……。」
僕は右肩を抑えながら、保健室へと訪れた。とにかく応急処置をしなければ、貧血を起こしそうだ。すでに起きてる可能性もあるが。
「タオル……布……くそ、さすがに肩サイズのはないか。」
愚痴をこぼしながらも、手際よく止血し、傷口を消毒する。稲妻が全身に走る痛みで思わず顔をしかめる。
「……やっぱりここに来てくれたね。」
ベッドの方から声が聞こえる。僕は咄嗟にそっちへ振り返り、そこにいる女性に携帯の光を当てた。
「くど……まなみ。」
目の前にいたのは、工藤愛美だった。この惨劇が起きる前に、僕に意味ありげな言葉を残して去っていった彼女がそこにいたのだ。
「……これで二人きりになれるよ。」
彼女はそう言って、口角を大きく歪ませた。
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