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頬に激痛が走る。まさかあの状態で動けるとは思ってもみなかった。
「……化け物だなぁ。」
人間の底力を体現してくれた君には本当に申し訳がない。おそらく俺に武器がなかったら、勝ってただろうに。
ーーーあくまで可能性の話だが。
鴉間は口角を曲げながら、蓼傍の髪を掴み、上体をゆっくりと起こした。
右目に刺さっている刀をゆっくりと引き抜くが、どうやら本当に死んでしまったらしく反応がない。当たり前なのだが。
「………逃げられちゃったかぁ。」
いつの間にか佐々木響我が姿を消していることに気づくと、深く溜め息を吐く。そして刀に付着していた血を制服の袖で拭き取った。
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