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何で?ーーという言葉が出ずに、目で訴えかける。逆に言いたいが、僕は“性行為”をするとは言っていない。
何で好きでもない相手と性行為をしなければならない。例えこの世界が彼女と2人きりになったとしても、僕は決してしない自信がある。
好みの相手でなければ、欲が出ないのだ。故に彼女がどんなに大人の魅力を発しようが、経験が豊富であろうが、僕が彼女に溺れることはない。
「1つ言う。多分、“これ”は君が引き起こしていない。たまたまこの時間まで君が生き延びただけだ。」
もはや彼女は声にならない喘ぎ声をあげている。とても醜い喘ぎ声を。
「葉桜に聞いたよ。君はここには去年の秋に転校してきたそうじゃないか?だからここの風習も都市伝説みたいな噂もうろ覚えだろう?だって君は何も“失ってない”し、“間違えた”じゃないか?」
そこまで言うと彼女も理解したのか、絶望に満ちた瞳から涙の結晶を流した。
「au revoir.」
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