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佐々木響我は飢えていた。この少数の町で生き延びる為には、一体どうすればいい。そんなことが頭の中を支配していた。
答えはすでに出ていた。だが、その時の佐々木にはそれを肯定するだけの勇気がなかった。
それを肯定してしまったら、その業を一生背負うことになる。幸い、この時は戦争というものがあり、警察というものも存在していなかった。
このときの時代は、食糧があまりなく、飢えを凌ぐために盗みをする者や、最悪の場合、女性はアメリカ人に強姦されることで金や食糧を得た。現代で言う援交に近いものだ。
無論、佐々木響我は女性ではない。ましてや、好きでもない相手と性行為するというのは例え女性であったとしても論外だと考える男だ。
ならば、飢えを凌ぐためには盗みしかないと思われるが、この町は43人で構成されていて、盗みなどしても無意味だ。
もっと人が盛んでいる所に行こうにも、5時間以上は歩かなければならないだろう。さすがにそこまでの労力は、ない。
日本は戦争に敗け、活気というものがなくなっていた。この町は元々人里離れた所にあるためか、戦争に赴いた者は少ない。
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