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43人という少人数の町になってしまったが、残りの食糧を考えれば、これでも多いほうだ。
お腹が下品な音で鳴る。ああ、空腹だ。喉も渇いた。
佐々木は行くあてもなく、町をひたすら歩いていた。動けば、更に空腹になるが、じっとしてれば空腹で倒れそうだ。
「中村さん、本気かえ?」
「おうおう。儂等が生きるためには、それしかないかて。気の毒やが、我々以外の町に住む者を殺さねば、食糧が足りん。」
足が止まる。佐々木は陰でコソコソと話していた50代は越える白髪の生えた老人達を遠目で凝視する。
そして、佐々木は決意した。やらなければ、こちらがやられると。先程まではそれを肯定するだけの勇気がなかったが、今はやるしかないと思った。
「死ぬのはアンタ達だよ。」
お腹がまたしても鳴る。佐々木は笑みをこぼしながら、早速準備に取り掛かろうと行動に移した。
肯定こそ、さっきまでしていなかったが、脳内にはすでにビジョンが見えていたのだ。
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