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僕は常にイヤホンを愛用しているが、今日は持っていない。一瞬、携帯で流そうかと思ったがやめた。
飛田みたいに襲ってくる者が万が一にもいたら厄介だからだ。僕にはもう時間がない。
「つれないことを言うなよ、神様よぉ。」
ふと幻聴が聞こえる。この声は今まで聞いたことがない。一体誰だと辺りを見回すと、答えはすぐに出た。
1羽の黒い鴉。僕がpasse'と名付けた鴉だ。passe'は嘴を動かし、僕に喋りかける。
「どうだい?やっと手に入れたと思った楽園が崩れた感想は?自分の作ったルールで大好きな女も大事な親友も死なせた感想は?」
「うるさい。お前は俺の何を知っている?」
普段、“俺”という言い方をしないためか、少し違和感を感じる。自分に何が起きてるのか理解できないが、この鴉の前だと自分が本来とは違う性格になるらしい。
「知ってるさ。儂は、お前をずっと見てきた。70年足らずの間、お前と共に生きてきた。」
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