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passe'の紅い目が僕を吸い込むように睨みつける。僕は鴉間颯に感じた恐怖を同様にこのとき感じ取った。
「……鴉が、70年も生きられる訳がない。お前は何者なんだ……?」
「お前が儂に名付けているだろう。儂はpasse'。お前に“過去”と名付けられた1羽の鴉だ。」
passe'とはフランス語で“過去”という意味を持つ。passe'はそれを言いたいのだろう。
「それが、何だって言うんだ?」
「お前は何故儂に“過去”と名付けた?何故儂と出会った時から再び過去の記憶を思い出した?答えは簡単だ。お前には儂の怨念が宿ってる。儂を殺したことを忘れるなど絶対に許さんぞ佐々木響我。」
ーーーお前が何度、記憶をなくそうと儂はずっとお前の背後にいる。何度でも儂がお前の記憶を呼び戻す。
passe'はそう言って、体が光の粒子となって消えていく。僕は冷や汗をかきながら、彼が消えるのを待った。
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