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幻聴だけでなく、ずっと幻覚を見ていたのかと、僕は溜め息をつく。
「……怨念、か。」
僕は42人と1羽の怨念を背負っている。そして今日更に何百といった人間の怨念も背負うことになる。
だが、それもいいだろう。僕は人を殺し続ける死神となりて、この世界を照らす光と化す。
きっと、あの日から、僕はこうなる運命だったのだ。それを今さら決心しただけのこと。
あと1人。他の人間はほっとけば死神が殺すだろう。だが、最後の1人は自らの手で殺さねばならない。
脳内に『moissonneur』が流れる。“moissonneur”とは僕の中では、“生を刈る者”という意味がある。ずばり死神を意味する。
まさに今の自分にぴったりだ。僕はリズムに合わせながら、その場所へと足を進める。
「もう殺しちゃダメ…。」
背後で、千花が僕にそっと囁くが、大音量で流れる曲に掻き消され、僕の耳に届くことはなかった。
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