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やはり佐々木は悲鳴をあげる星田にこれといった反応を示さない。
星田は花火大会で自分に言ってくれた佐々木の優しい言葉がとても励みになった。それが恋愛感情へ変わるのはほぼ必然的だった。
だが、“今の佐々木”にはあの時の優しさはない。心配する言葉すらかけず、どこか淡々としている。
「あなた、誰…なの?」
「星田さん。僕は佐々木響我だよ。」
ああ、やっぱり貴方は嘘つきだ。星田は心の中でそう呟いて、目を静かに瞑った。
不思議なことに瞼の裏には、あの頃に母親と見た満天の星空が映っていた。
隣には笑顔で星を指差す佐々木の姿があった。
「……ごめんね。星を見せてあげれなくて。」
現実の佐々木の声が聞こえた瞬間、突如視界が暗転した。
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