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鴉間颯は目を覚ます。夢だったのかと目を擦るが、頬や腕に出来た傷が夢ではなく現実だと告げる。
毛布を右手で剥ぐと、鴉間颯は急いでテレビのリモコンを取り出した。テレビの電源を入れると早速ニュースへと切り替える。
『今朝未明、○○県の潜神町で、多数の学校の生徒の遺体が発見され、またーーー』
ニュースキャスターの女性が深刻な顔で視聴者へ告げると、鴉間颯はテレビの電源を消す。
自分は生きている。そして、夢から覚めるまでは、佐々木響我も生きていた。
ということは、佐々木響我も生きている。それは鴉間颯にとって、何よりの朗報だった。自分に似た存在感を放つ相手とまた殺し合いが出来るのだ。
鴉間颯を服を着替えると、台所に置いてある包丁を取り出し、懐にそっと隠した。
そして、いつも通りに外へ出ると、ふと空に学校にいた死神がいたような気がした。
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