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気のせいか。鴉間颯は走り出す。行く当てもないが、とにかく佐々木響我を探したかった。
もちろん見つけたら殺す。その考えは揺るがない。何せ、相手も自分を見つけたら殺そうとするはずだからだ。
正直、あの時は死ぬかと思った。だが、事前に死神と対峙した時に攻撃は通じないが、胴体の黒い布をすり抜けられることを知っていたおかげで何とか生き延びることが出来たのだ。
戦争も危険を早くに察知するかで生死が決まる。如何に死に対して、敏感であるかが生き延びる為の鍵なのだ。
それがずば抜けていた鴉間颯は本当に悪運が強い。鴉間颯は手にじわりと溜まった汗を見つめ、自然に笑みをこぼした。
鴉間颯は今、交差点にいる。向こうに大量の人間が固まっているが、その中に異様な存在感を放つ人間に気づいた。
その人間の口が小さく動いたが、何て言ってるかはすぐに分かった。
『………やぁ。』
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