第1章

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一時期、社長は 「あ~もう死にたいっ!」を ことあるごとに叫んでいました。 その当時は有難いことに受注がパンク気 味な程で、生産現場の生産予定を組んで いた社長は客先の納期に追われていたの です。 私達営業事務は、客先からの受注により 材料手配をし、社長の生産指示に従って 現場に指示を出し、製品を出荷するのが 役割です。 数名の営業事務はそれぞれ担当会社を持 ち納期管理は大事な仕事です。 客先の希望納期に応える為に社長の予定 を変更してもらうことも度々…。 時には報告が遅れ、変更が事後報告にな ると、 「どうしてこうなってるの!各社のバランスを考えて組んでるのよ!」 雷が落ちることもあるけれど、常に雷に 打たれている私達、懲りません…。 そしてその日はとうとう切れてしまった のでしょう… 「自分達で組めるならやりなさいよ!今度から専務に組んでもらって!」 と雷を落とし、普段は使用していない役 員室に籠ってしまったのです。 翌日もその翌日も。 専務は生産予定は一切関与していなかっ たのでキョトーン…です。 そして私達は、天岩戸にこもった天照大 神を引き出す為の踊りのごとく、オロオ ロアワアワ…。 本当は私達で当面の予定は立てられるの ですが、勝手にやるとまた逆鱗に触れる ので…恐る恐る様子を見ながら現場が止 まらない様に予定を出していました。 一週間程で岩戸は開き、何もなかったか のように元に戻りました。 教訓:社長は時に天照大神になる。 肝に銘じました。
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