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「佐伯さん、この資料まとめてくれる?」
背後から私のデスクに資料を置きながら声をかけられた。
振りかえらなくても相手はわかった。
抑揚の無い低い声。
初めて会った時は、あんなにも甘く聞こえたのに、仕事中はその片鱗も見せない。
それに、二人の時は俺様全開だったのに、今は文句のつけようがないくらい丁寧な対応だ。
さすが、社会人。
「…わかりました。黒沢さん。」
営業スマイルでにっこりと微笑み返したのに、振り向いた時にはもう、黒沢さんは既に他の仕事を進めていた。
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