第1章

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涙が込み上げてくるのがわかる。 いま、瞬きしたら、絶対涙が零れ落ちる。 決壊寸前。 天井を見つめていた視線を、私へとずらす。 だけど、表情を変える事もせずに、私を真っ直ぐに見つめる。 「馬鹿だよな」 抑揚の無い低い声は、時折甘く聞こえる。 だけど、実際はどんな感情が込められているのか察しにくい。 彼が、何を考えているのかわからなくて、怖い。 真っ直ぐな漆黒の瞳、私は今どんな風に映っている?
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